人工光合成
人工光合成とは、太陽光のエネルギーを用いて、化学的なエネルギーを得る技術の総称で、太陽光を使って燃料を生産できるため、未来のエネルギー供給技術として期待されています。この人工光合成技術の中でも、実現性が高いものとして半導体を用いた手法があります。光によって半導体の中に電気を作り出し、その電気を利用して燃料を生産するのです。太陽電池に似ていますが、得られるエネルギーが貯蔵可能な燃料になるところが、異なる点です。また、生産する燃料として、最も検討されているのが水素で、この場合水を分解して水素を取り出す形になります。
SiCを利用した水分解による水素発生の概念図
我々はSiCを人工光合成用の半導体として利用可能なことを提案し、非常に高い耐久性と水素の発生能力を実証しました。ここでキーとなったのは、SiCの中でも多くの太陽光を吸収可能な立方晶のSiC(3C-SiC)を用いたことです。また、3C-SiC結晶の高品質化をすることで、水素の発生量を他のトップレベルの材料と遜色ないものとすることができました。
3C-SiCウェハ
太陽光のうち青い光を吸収するので黄色に見えます
現在はSiCのみならず、他の半導体材料も対象にして、人工光合成でのエネルギー変換効率が何で決まっているのか調査しています。それとともに、SiCと他の材料の組み合わせで更なるエネルギー変換効率の向上を目指しています。また、他の研究グループとも協力して、水素以外の燃料も発生させることも目指しています。
SiC表面からの水素発生の様子
参考までにSiCで水素を発生させている動画を載せておきます。

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