応物講演会で託児室を使ってみた

動機

2015年春季の応用物理学会講演会は東海大学(平塚市)にて開催された。2015年初めに家庭には不運なことがあったが、この学会では自分の学生の講演が予定されているので、気持ちを奮い立たせて是が非でも参加したい。ただし、問題は子供の世話である。当該講演は午前中だったので、日帰りするにしても朝子供を保育園に預けて、名古屋から会場に向かうのでは間に合わない。祖父母(子供から見て)に子供の世話をお願いするのも気が引ける。あ、そういえば応物講演会には託児室が設置してあった。以前に友人ご夫妻が利用していたことも覚えている。ここは女性研究者の気分(というジェンダー固定の表現は嫌いだが)になって託児室を使って1泊で行ってみよう!

申し込み

申請用のエクセルに記入して応物の担当の方にメールする。このとき当然だが預ける日にち・時間帯を決める必要がある。聴講したい講演が固まってないのと、移動にかかる時間が正確に見積もれないので、なかなか難しい作業だがエイヤっと記入してメールする。すると申し込み受付の連絡と説明書&当日申し込み書がpdfファイルで送られてきた。当日申し込み書は住所などの記入事項が結構存在し、しかも毎日提出する決まりになっている。ああ、同じことを何度か手書きしなければならない、これがwordファイルであったならコピペで済むものを…(この感想はちゃんと学会にフィードバックしてあります)。託児室使うことを決めたので、学会前に同業者の方々に、託児室使うよー、と伝えると「偉い!」、「無茶するなよ!子供ならうちで預かるよ」などという激励?をいただく…まあでも何事も経験ですし、女性研究者のこと考えるとそんなに偉くないと思うよ。

当日

父は前日の準備から若干の旅行気分だが、子供はどうやらそうではないらしい。仕事だという雰囲気が伝わっているようで、不安げだ。出発からずっと抱っこでないと動かない。背中のリュックにも子供の荷物&仕事の道具が入っているので文字通りなかなかヘビーである。しかも季節外れの積雪で新幹線が遅れている。おかげで名古屋駅で待たされると共に、そこで複数の知り合いに会い、一人の方からは「まさかそのまま学会行かないよね!?」という言葉をいただいた。いえ、このまま行くのです。
混んでいる新幹線&小田急にビビる子供。ここで父は失敗をしていた。おもちゃを持ってきていなかったのだ。とりあえず、携帯でYoutube見せて落ち着かせる。途中「アンパンマンの紙芝居が欲しい」と言い出したので、東海大学前駅に本屋があることを期待して探すと、紙芝居じゃないけど絵本があった!しかも持ち運びやすいサイズだ!そのサイズのものを全種類買い、さらに動物の絵のカードも欲しがったので買ってやった。金で子供を落ち着かせられるならいくらでも払いますよ!(ウソ)。そして学会の臨時バスに乗って会場に着いた。到着しただけでかなりの消耗度である。もう仕事したくない…いやいや、託児室を見つけて子供を預ければ自由の身だ、と託児室の場所を探す。地図を見て、あーこっちの方ね、と歩き出したが…遠い、遠いぞ。場所はキャンパスの端の建物の最上階の会議室だった。やっと着いた…消耗した顔で保育士さんに荷物と申し込み書を渡す。すると起こることを察知し、泣き出す子供。そこはさすが保育士さんで、すぐに子供を抱っこしてくれる。でも泣き止みません。泣く子供を残し、託児室を出る父。すまない、我が子よ…
数時間後、講演を聴き終わって迎えに行く。子供は笑顔である。保育士さんも良くしてくれ、他のお子さんたちとも遊べたようで、ありがたかった。ということでやっぱり抱っこでホテルへ。ホテルは(知人のおかげで)会場の近くで助かったのだが、やっぱり疲れました。チェックインして、居酒屋で子供と食事してホテル戻って宿泊。当然、学会の楽しみの一つである宴席には行けません(知り合いに学生を紹介して、学生だけ宴席に行ってもらいました)。

子供も疲れてぐっすりでした。
なんかかぶってるぞ?

二日目

朝起きて抱っこで会場へ。知り合いに会う度に子連れということで若干驚かれる。子供の方は託児室の場所がわかっている分、行く前からイヤイヤである。そりゃそうだよね、お友だちも知らない子たちばっかりだし。ええい、父は仕事なのじゃ、許せ!ということで昨日と同じように預け、泣き声を背中に会場に。で、今回の一番の目当てである学生の講演は、幸いにも好評だったようです。
さて、昼食は子供と一緒に取らなければならない。知人の誘いを断って託児室へ。子供は父に会うと嬉しそうだが、食事が終わって別れるときは大泣きである。子連れ学会は体力だけでなくメンタルの勝負ですね、理解しました(T_T)
夕方、子供のことを考えると夕食前には帰宅したいので、早めの新幹線ひかり号に間に合わせたい。聴きたい講演を泣く泣くスキップして託児室へ。よし、後は父と一緒だぞ、我が子よ。で、抱っこしてバスに連れて行ったら、現在時間に驚く。なんてことだ!会場-託児室-バス乗り場の移動で30分以上経過している。あー、ひかり号には間に合わない…ということで、予約をこだま号に切り替えて、のんびり帰りました。夕食は仕方がないので売店で買ったツマミを新幹線内で二人で食べて、父はビールで疲れを癒やしましたとさ。

まとめ

子連れでの学会参加はハードです。夫婦共に同分野の研究者で二人で学会に行けるという稀な方ならともかく、一人で連れて行くのはなかなか厳しいです。ただし託児室の存在により、様々な事情を抱える方が参加できるようになっていることは事実であり、素晴らしいことです。保育士さん達もすごく親切でした。利用できる立場の方はぜひ利用してみてください(こんな文章を公表すると逆効果でしょうか?)。

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