東海道新幹線に2020から運行している車両に、N700Sというのがある。この車両の電力変換部分には、新幹線車両として初めてSiCデバイスが使われている。新幹線以外の電車車両にはSiCデバイスはすでに広く使われているのだが、やはり新幹線車両という電車車両の最高峰に位置するものに、SiCデバイスが使われるというのはインパクトがある。とはいえ新幹線にSiCデバイスが搭載されるというのは、以前からアナウンスされていて、その技術開発の経緯を先進パワー半導体分科会第4回講演会やICSCRM2019という会議で、ご講演いただいたこともある。特に前者の会議は私が責任者としてご講演者様にお声掛けしたので、非常に記憶に残っている。当時から、2020年になればSiCデバイスが搭載された新幹線に乗れる!と期待していたのであるが、コロナ禍によりおあずけになっていた。
そしてついに2020年11月、某会議の出席のため遠出をすることになり、9ヶ月ぶりの新幹線の搭乗と、それに伴うN700S体験をすることができた!夜だったし、他のお客さんもいるので、記念写真がほとんど撮れなかったことは残念だったが、広くなった車内、明るくなった照明、カラーディスプレイ、そして各席に設置されているコンセント(写真)など、以前の新幹線車両との違いが見て取れた。SiCデバイスによる変換器の小型化、省エネ化がこれらの違いに影響を与えているのだなあ、と思うとSiC業界に長く関わっている者として感慨深かった(もちろんSiCデバイス以外の技術開発も含めた結果であるのだろうけど)。
各座席の手すりに設置されているコンセント |
というわけで、ただ自分が感動したってだけの文章なのだけど、実は最も印象に残ったのは、車両の揺れが以前より感じなくなったなあ、というSiCデバイスとは関係なさそうなところでした(もしかしたら軽量化で貢献してるのかな?)。次はSiCデバイスが搭載された自動車に乗りたい。テスラモデル3を買えば良いと言われそうだけど、お値段が高くてとても手が届かないのと、我が家の駐車場には充電設備がないので無理です。まずは自分がSiCデバイスを安価にできるような研究をするべきですね。感想文終わり。